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[人間づくり]総合人間教育学の普及と援助

人間づくりコラム

倭うるわし 日本よ永遠なれ 小池松次


日本人独特の人生観・宗教観
樹を祀り 石を祀りて 里祭

平成十八年二月四日のことです。NHK教育テレビを視ていたら、画面に右の俳句が浮かび上がりました。

番組は平成十七年度NHK全国俳句大会最優秀賞の発表風景です。NHKに寄せられた二十万句の中から最優秀賞に選ばれたのがこの句です。

思わず「すごい」と感嘆の声をあげました。日本人が古来から温めて来た自然現象に畏怖する人生観を、わずか十七文字で見事に表現した秀作です。

日本人は縄文・弥生の昔から、木にも石にも岩にも山にも川にも神仏が宿るという敬虔の念を持ち続けて来ました。六世紀頃になると、日本固有の神道と外来の儒教・仏教が渾然融合して独特の宗教観が生まれました。

それは紆余曲折を経て練磨され、現在も日本人の精神形成の一翼を荷っています。キリスト教文明圏とは違った日本人独特の、宇宙エネルギーを内包した人生観・宗教観の機微を、神聖なる伊勢神宮において、トインビー博士は鋭敏に体感されたのでしょうか。読むたびに心が引き締まる文面です。

トインビー博士の来日の目的は、今次大戦で、東洋の資源も乏しい小国の日本が、何ゆえに英・米・蘭・支(イギリス・アメリカ・オランダ・中国)を相手に、三年九ヶ月間も激戦を続けられたのか、その信じ難い、恐るべき戦闘力の秘密を探るためでした。経済学者など多彩な専門学者も帯同されました。その調査の一環としての伊勢神宮参詣だったのです。

軍事力の秘密を探る調査項目に伊勢神宮を加えられたことは、これぞトインビー博士の希有の慧眼の証左だろうと驚嘆しました。

トインビー博士の昭和四十二年の伊勢神宮参詣と、明治四十年のロンドン大学での菊池大麓の教育勅語の講演会と、明治四十一年の国際道徳教育会議に日本が招聘された経緯は、日本の精神文化の面では軌を一にしています。

教育勅語は日本の精神文化の叡智を結集したもの
「国際道徳教育会議」の開会式の挨拶でサドラー会長が「愛国的義務と自我の徹底的抑制を厳格に教え込んでいる日本人の訓練について、その道徳上の名声と偉大な伝統の力を理解するのに力になってくれる人が参加しております」と言及した人物とは、バロン・H・カト こと、加藤弘之男爵です。

加藤の名前は、拙著の「教育勅語発布に関する山県有朋総理大臣談話」に二度も登場します。東京大学総長・文部大臣を歴任し、修身教科書の制定にも尽力した当時の道徳教育の第一人者です。世界の倫理教育の推進役だったサドラー会長は、既に日本の修身教育の動向と加藤弘之の業績を熟知していたのです。

日露戦争の勝利の原動力については、縷々論述した如く、日本の教育における教育勅語の存在だ、というのが欧米の有識者の一致した見解でした。

しかし肝心なことは、教育勅語発布に至るまでの日本の精神文化の形成過程の解明です。

それを欧米の政治家・教育者に理解して貰うために、わざわざ菊池大麓はロンドン大学での七ヶ月間の連続講義を神武天皇の神話から始めたのです。

教育勅語の英訳に長時間を要したのも、単なる翻訳ではなく、その訳語の中に、日本独特の精神エネルギーを厳密に盛り込むためでした。教育勅語は日本の有史以来の精神文化の叡智を結集したものです。

見当外れの、近視眼的な軍国主義云々の先入観はいい加減に払拭して、虚心坦懐に教育勅語の真髄を探究し、再度日本の教育再建に役立てましょう。

その卓越した神通力は 前出『教育勅語絵巻物語』に収録した「岩手県知事・石井省一郎談話」・「芳川顕正文部大臣・教育勅語御下賜事情」・「教育勅語発布に関する山県有朋総理大臣談話」・「朝日新聞の二度の社説」・「毎日新聞社説」を一瞥すれば明々白々です。

「教育は百年の計」。終戦以来六十五年間、日本の教育界は不幸にして歴代政府首脳の教育軽視と、文部官僚の無為無策と、曲学阿世の東大教授等講師団の指導を鵜呑みにして偏向教育を実践した日教組のせいで崩壊の危機に瀕しています。

「祖国愛・国旗・国歌の尊厳」を義務教育で教えないなんて、百年以上も昔の植民地・属国の民の仕業そのものです。批判する値打ちもありません。情けなくて涙も出ません。残された年月は僅か三十五年間です。

先哲・修身の教えの「過ちを革むるに憚ること勿れ」を教訓に、有志合い携えて教育復興活動に邁進しましょう。

そして、先人達が第一の国難「元寇」、第二の国難「明治維新の日本伝統文化の危機」を克服したように、第三の国難「GHQの日本弱体化教育政策」を早急に脱却して、後世に本来の真っ当な日本の歴史と伝統文化を正しく伝えましょう。

これぞ現代に生を受けた我々の義務・祖国愛そのものです。

合掌