この国で私たちの手でしあわせを創造しよう!!
坂口倫章(熊本)
熊本インプラントセンター添島歯科医院 副院長
厚生労働省指定臨床研修指導医
日本歯周病学会認定歯周病専門医
日本口腔インプラント学会認定医 |
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日本の医療制度の崩壊
今年の4月1日から診療報酬が改定されました。 過去最大の下げ幅となったのですが、 特に入院関係と歯科では非常に厳しい実態とかけ離れた異様な改訂内容で、 大きな衝撃が広がっています。
また、昨年12月に政府・与党が合意した「医療改革大綱」の内容は、 高齢者の窓口負担増や、現役世代の保険料負担増、入院の食費・居住費の保険給付はずし、 75歳以上すべての高齢者からの保険料徴収など、国民により一層の負担を強いるもので、 今年中に国会で法案が可決され公的医療が益々縮小していくことが予想されます。
日本のシステム全ての崩壊
では、この医療改革というものは一体何のためか、そして一体誰の利益になるのでしょうか。
それは実はアメリカ政府の強い要求から出発したという側面があるようなのです。
ここ10数年来「年次改革要望書」という内政干渉といっても過言ではない 包括的アプローチを毎年行ってきているのですが、 医療分野もその中に含まれているのです。
既に日本では農業・金融・流通・エネルギー・建築等といった諸分野から 教育、司法等社会システムの根幹に至るまで、 後戻りができないような改革が推し進められようとしていますが、 それは日本国民のというよりは、 アメリカの国益、特に企業やその株主である支配層の利益に大きく適っているものなのです。
日本の医療制度の国際的評価はトップクラス アメリカは低評価
戦後、日本の医療は国民皆保険の原則を発展させ大きな成果をあげてきました。
安全性・有効性が確立した医療を順次保険に組み込み、患者さんは保険証一枚を持って、 費用の一部負担を払えば全国どこででも、ある一定の医療が受けられるという保険診療の仕組みにより、 医療の平等性や健康達成度で、世界トップクラスの評価を受けるようになりました。
私たちが普段当たり前と考えている皆保険という制度は、 様々な矛盾や問題点はいろいろとあり、改善の余地があるのも事実ですが、 実は他国にはない非常に稀な素晴らしいシステムなのです。
それにも拘らず、この医療制度を大きく変えていこうとしているのです。
今や、経営破綻し外資系保険会社に買収された日本の中小の生命保険会社は、 9社(内4社は米国資本)にのぼります。 平成16年には、AIGグループが新規保険料収入で 国内最大手の日本生命を抜き去ってしまいました。
昨年、郵政民営化が決定したことで、外資系の民間保険会社は今後、 官営から市場開放される簡易保険120兆円という莫大なマーケットを狙ってくるでしょう。 郵政民営化で民間保険市場の拡大を確実なものとした上で、 今度は医療分野にも「例外なく」市場原理というものを導入していこうという流れなのです。
自由放任主義者には、医療も単なるマーケットとしか映らないのです。 この医療改革で一番得をするのは、医療を金儲けの対象にしようとする 日米の大企業ということになるのです。
アメリカが熱心に要求している「混合診療の解禁」が実現すれば、 今まで日本では未承認で使えなかった新薬や治療法が利用しやすくなるといったプラスの面もあります。
しかし、それは決して日本国民のためではないのです。 日本で未承認の米国製の新薬や、治療法の新規参入を促すためであり、 拡大する自費医療保険市場の創出が目的なのです。
しかも、その恩恵に授かるのは一定の所得水準以上の人だけで、 他方、全般的には現在よりも公的医療は質・量ともに低下していき、 結果としてその被害の憂き目に合うであろう社会的弱者に対しては、 彼らの関心は全くないのです。 それが市場原理、「勝ち組」「負け組」のシステムだからです。
日本もアメリカと同じシステムに変わる?
現在のアメリカの医療の状況を見ればよく分かります。
政府が社会主義的な価格統制を行い、国民皆保険制度により非常に安価な医療を提供している日本 (対GDP比世界第18位と先進国中最低レベル)より、 市場経済に委ねているアメリカ(対GDP比世界第1位)の方が実は医療費がずっと高く、 一人当たり医療費は日本の2倍近くにもなります。
アメリカには国民皆保険制度など存在しません。 公的保険がカバーしているのは高齢者・障害者と低所得者だけであるため、 その割合は全国民の24%程度に過ぎず、約70%もの人々が、民間の医療保険に加入しているのです。
この民間の保険料は、大口の大企業では比較的低負担となり、 それで世界最高水準の医療を受けられるのですが、 小口の中小企業や自営業者や退職者など、個人ではかなり割高なのです。
さらに、公的保険にも民間保険にも入れない比較的低所得者層では、 余程の重症にでもならない限り病院には行けず、 例え行ったとしても診療拒否されたり、 医療費負担に伴う自己破産に陥るケースも決して珍しくないそうです。
結果、アメリカは世界一の医療費を掛けながら平均寿命、 乳児死亡率等いずれも先進国中最低レベルであり、 WHO(世界保健機構)による「健康達成度総合評価」は世界第15位(日本は第1位)、 「平等性」に至っては第32位(日本は第3位)と、 凡そ先進国とは言い難いレベルなのです。
日本もこれと同じ環境になる可能性は大きいのです。
今や日本の様々なシステムは大きく変わろうとしています。
急激な少子高齢化社会を迎えていく中で、アメリカやイギリスのような 「小さな政府」を本気で目指していくのか、 北欧諸国のような「大きな政府」を目指すのか、 或いはその中間を目指すべきなのか。
個人主義的色彩の強い市場原理・自由放任主義的国家なのか、 共同体的機能を持った集団主義的資本主義国家なのか。
私たち一人一人が真剣に考えておかなければ「後の祭り」といったことになりかねません。
CMF地球運動を成功させよう!
其々の国には其々の独自の風土があり文化があり、其れに相応しいシステムがあるはずなのです。 そういった国家のグランドデザインがあって初めて、 医療制度だけでなく社会の様々なシステムが構築されていくのが一番自然なのです。
幸い私たち日本人は古より格式ある伝統に培われた素晴らしい日本文化というものを築き上げてきました。 「もののあわれ」を始めとする自然への畏怖心といった美しい情緒、 そしてそういった感性によって培われたであろう万物に対する 「和」の心、永い伝統を振り返りさえすれば答えはすぐ其処にあるのです。
木原先生はその答えを実現すべく、 実に早くから具体的な構想をお持ちになられております。
先生の溢れんばかりの熱意には、私自身も何かを奮い立たせていただきました。
ひとりでも多くの方が9つの立国構想に賛同し、共に行動していくことを願ってやみません。
なぜなら、私たちの幸せは私たちが生きているこの国で、私たちの手でしか創ることはできないからです。