衰亡の転機にある日本
さて、徳富蘇峰翁は、昭和2年1月、「国家興隆すれば、理想を以て生活とし、国家衰退すれば、生活を以て理想とす」と書きました。この名言に照らし合わせて考えてみると、現在日本はまさに国家衰退の道を辿っており、危機的状況にあると言えるでしょう。
危機とはそれを克服したときには再興の転機となり、克服できなければ衰亡のきっかけとなります。その意味において、現在日本が直面している危機は再興の転機なのか。それとも衰亡の転機なのでしょうか。それを見極めるためには、現在の危機の本質を見なければなりません。
そうすると、まさに「衰亡の転機」としての危機の中に我が日本はあると言えましょう。何故なら、日本の政治は今危機の中にあることを自覚していないからです。
即ち、明治の田中正造翁は「亡国を知らざれば、これ即ち亡国」と言いました。危機は我々を蓋っている。しかし、我々はそれに気づかない。わが国は、国際政治という俎板の上に乗っている鯉である。俎板の上に乗っていることを知らないのは鯉だけである。これこそ即ち最深の危機なのではないでしょうか。
誇りある強い日本へ
解散総選挙が確実に行われる本年こそ、我ら力を合わせてこの危機的状況から脱しなければなりません。そのためには北朝鮮に拉致された日本人を救出する「強い日本」、国民が日本人としての自信と誇りを持つ「誇りある日本」、そして真面目に働くものが報われる「明るい日本」を目指さねばなりません。
誇りと強さは不可分です。強い日本でなければ、限られた資源の争奪段階に入った世界情勢の中で資源を確保できず、経済も維持できません。そして北朝鮮に拉致された日本人の救出も不可能です。
つまり、本年の「誇りある強い日本」への改革開始は、我が国存続と国民救出のために不可欠な国民的選択です。さらに、明るさは誇りと強さに加えて、真面目に働く者が報われることから生まれます。
これらを獲得しなければ、日本は物資欠乏よりもまだ深刻な精神の衰退によって、一気に亡国への坂道を転げ落ちます。亡国と再興は、紙一重です。本年は、この紙一重のところに入ってきています。
戦後歴史観・国家観からの脱却
さて、「強い日本」、「誇りある日本」、「明るい日本」を作る上での着手点は、まず、「国防」そして「教育」です。
田母神航空幕僚長(当時)の「日本が侵略国家であるというのは濡れ衣である」、つまり日本は良い国であるという歴史認識を、与野党の既成政党が寄って集まって追放して、村山談話の「日本は悪い国である」という歴史観を強制するという馬鹿騒ぎがありました。
村山談話に基礎を置く歴史観では、祖国に誇りを持つことが出来ないのは当然であり、またここから「反戦平和」の旧社会党的思想が導き出されるのも火を見るよりも明らかです。
果たしてこれで良いのでしょうか。村山談話を信奉しているこの政治が、北朝鮮の日本人拉致を放任して被害者を救出せず、さらに核開発を続ける中国や北朝鮮への贖罪意識から金品を渡していたという亡国的な事態が導き出されているのです。
こういった亡国的・侮日的・反日的国家観から脱却することこそが、今後の日本の国づくり人づくりには肝要であり、貴団体が「誇りある強く明るい日本」実現のための大きな原動力となることを大いに期待する次第です。
最後になりますが、木原秀成理事長をはじめとする貴団体の関係者並びに諸兄姉のご多幸を心よりお祈り申し上げます。