日本の心を原点に国づくり人づくりを
日本の未来を考えるにあたって、最も大切なことが「国づくり人づくり」であります。私たちは、日本を変える気概と情熱を持って「日本の心」を原点に、未来を考えていかなければなりません。日本の未来は、私たち国民が選択し、その進路を決定し、その結果に責任をとる必要があるのです。
日本の政治・経済・社会は、いま大きな転機にあります。私たち国民は、どのようにこの激変を乗り切り、将来への展望を見出していけばいいのか、社会環境・経済環境の大きなうねりから生じる構造変化の時代の中で、確固たる信念と責任感を持って、改革にチャレンジし、この変化を乗り切るための「姿勢」と「戦略」がなくてはなりません。
地方の時代
時代は「地方の時代」といわれるようになり、ここ数年、政治行政や学者の間では道州制論議が活発に行われております。道州制論議が大きくなった背景には、議会内に憲法調査会が設置され、憲法論議が公に議論されることになったことがあります。憲法調査会における大きな課題は、天皇制・憲法九条・道州制・首相公選であり、それらが国民の関心を呼びました。
その中でも道州制の導入が行われれば、都道府県の区割りの問題、選挙区の区割りの問題などがクローズアップされ、地方分権が大きく前進することになります。これを迎える地方は、政治的にも行政的にも、今の段階から準備をしていかねばなりません。
個性ある地方のあり方を考える時であります。「北海道は北海道の個性を、沖縄は沖縄の個性を」という政治・行政のあり方は、必ず地域の思いをしっかりと受け止めることが出来ると思います。 東京一極集中型の政治は終わり、地方が地方と連携をとりながら中央の政治を動かすという仕組みが主流となる日が必ず来ることになるでしょう。
そのために大事なことは、①自らの地域の存在感をしっかりと示すこと、②中央政権との関係において、自らが交渉を行えるような行政能力のバージョンアップ、③歴史・文化・地理的位置など、自らの個性を伸ばすことの3つであります。私たちは今、この3つを中心に「国づくり」を行わなければなりません。
私の生まれ育った沖縄のある離島を訪れた時、船着場にはたくさんの子供たちがおりました。「なぜだろう?」と思っておりましたら、なんでも、子供たちはお世話になった先生が離任するので、その先生の見送りに来ているということでありました。私は、ここに本来の「日本」の姿
を見たような気がいたしました。沖縄には、こういった風景が数多く残っております。それは、沖縄に限らず、全国いたるところに残っていることでしょう。
私たちは、地方から「日本の心」をしっかりと発信し、大事に育て、これからの「国づくり人づくり」を推し進めていくことが大事なことだと思います。地域が個性を育み、それが地域を誇れる力につながり、最終的にそのことが「日本」と「日本人」のアイデンティティを取り戻すことになるのです。