この度、木原秀成先生を中心に多くの人たちが、この国づくり人づくり国民運動に参画し、羅針盤を失った大きな船のように迷走している日本を再び誇りと自信に満ちた国にするため、立ち上がったことに対し心から敬意と賛辞をお送り致します。
この会には私が日頃からお世話になり、ご指導を受けている加瀬英明先生をはじめ、藤井厳喜先生他多くの先輩方が参加されており、わたしも微力ながら皆様と一緒にこの会の発展を通じて、日本へ恩返しをしたいと思っております。
日本古来の精神と美しい日本語の復元を
私は国づくりの原点は、国民一人一人が自分自身が国の礎となって今まで先輩達が築き上げてきたものを支え維持し、更に発展をさせることによって次の世代にバトンタッチすることではないかと思います。日本は素晴らしい伝統文化を持っており、特に高度な精神性がこの国を他の国に比べ豊かにし、長い間平和を維持できたのではないかと思うのです。
戦争に負けて国が廃墟と化された後も、わずか20数年で物質的経済的に国を再建し、世界第二の経済大国の地位を獲得したことについては、数多くの研究が世界中で行われました。それらの研究の結果、日本の強さは高度なモラルに基づく社会性にあると広く認知されるようになりました。
しかし残念ながら日本は明治以来、西洋に追いつこう、追い越そうということに必死になり、戦後は国の形を復元することに必死になって、聖徳太子以来大切にしてきた仏教精神に基づく人間性と自然との調和に基づく生き方を軽視したばかりではなく、この20 、30年は意図的にそれを破壊することに熱心になってきたように見えます。従って何よりもまずしなければならないことは、日本古来の人間と自然の調和に基づく社会そして人間同士がお互いに思いやり、尊敬し合いそれぞれならではの役割を果たす社会の復元ではないでしょうか。
日本語ひとつにしても、私は世界に誇れる素晴らしい言葉、特に人間の気持ちを表現する術と言葉の豊富さには感心しましたが、最近はなんでも軍隊や病院の手術室のように言葉を簡略化し、日本語が貧弱になりつつあるように思います。実に残念であり、美しい日本語を取り戻す運動を行って欲しいと思います。尚、国づくりのもう一つは国際社会に日本がそれ相当の発言力と地位を獲得することです。
日本の役割
戦前日本は国際連盟の常任理事国であり、唯一西洋の国々と肩を並べ対等に渡り合えるだけの力を付けていましたが、戦後の日本は経済のみに重点を置き、エコノミーアニマルという不名誉なレッテルさえ貼られました。 最近になって、日本政府も国連の常任理事国を目指すような動きはしているものの、不発に終わっています。
その一番の要因は、アジアのリーダーを自負しているというのに、アジアのことは眼中に無く、西洋のあとばかり追いかけ、アジアには仲間がいるどころか、中国などから脅かされるとただひたすら謝罪するだけでした。日本が国際社会の中で大きな役割を果たすためには、アジアとの連帯は何よりも大切であると思います。そのために私が出来ることは、アジアの国々と日本との連帯を強化させるため、お互いをよく知り合い、信頼の基礎を作るための場を確保することであると思います。
従ってもしこの運動の一環として会員の皆様が賛同し、会が協力して下さるのならば、二ヶ月に一度ほどの「興亜塾」を始めたいと思っています。この塾を軸にして、アジアの人々との交流を強め、互いに学び協力しあえるような環境作りに着手したいので、皆様のご意見をお寄せ頂ければ幸いです。最後にこの会が一歩一歩着実に前進し、大きな成果を得ることによって、日本の国民が誇りと国家が自信を取り戻せるようになって欲しいと切に願っています。