激変する教育政策
相次ぐ凶悪な青少年犯罪の背景には戦後、個人主義という名の利己主義を煽り、知識教育ばかりを重視して、「心の教育」を疎かにしてきたという問題があると思います。
こうした反省を踏まえて、平成18年12月には、59年ぶりに教育の憲法と呼ばれる「教育基本法」が抜本的に改正されました。この改正では、「伝統と文化の尊重」「愛国心・愛郷心」「公共の精神」「宗教に関する教養」「豊かな情操と道徳心」など、戦後の教育 界で弱点とされてきた理念が明文化され、公共の精神を尊び、伝統を継承しつつ、日本国家の一員として振る舞うことができる「国民」に子供たちを育てることになりました。
この新教育基本法の理念に基づいて現在、政府サイドでは、教育改革が急速に進んでいます。 昨年3月には、小学校と中学校の教育内容の大綱を定める「学習指導要領」が全面的に改訂されました。これまではどちらかといえば、「日本はこんなにひどい国だった」といった偏ったイデオロギーに基づく、歴史教科書や教材が蔓延し、子供たちは日本の歴史に誇りと愛情を持つことができずにいました。
そこで、今回の「学習指導要領」改訂では、すべての教科において、愛国心の養成を図ることが明確にされ、日本の素晴らしい歴史と伝統、文明を子供たちに伝えることを重視することになりました。今後は、日本の歴史・伝統・文化の素晴らしさや、国家社会の建設に尽くした先人の生き方の学習を通して、日本人として生きる誇りと自信を呼び覚ますことが、重要となってきます。
また、国際社会で活躍する日本人が増えてきたことを受けて、オリンピックやサッカーなどの表彰式で、堂々と国歌「君が代」を歌うことができるように、小学校「音楽」の授業で「国歌『君が代』は、いずれの学年においても、歌えるよう指導すること。」と明記され、児童・生徒が国歌を歌えるよう指導する義務が、教師にあることを明確にされました。
さらに日本の精神文明を伝えている神話についても、小学校一、二年の「国語」の教材として使用することになり、子供たちが幼い頃から、日本の神話に親しむことができるようになりました。
一方、子供たちの健全な育成は、家庭教育にかかっています。そこで、新しい教育基本法では第十条に「家庭教育」という項目が新設され、「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」と明記されました。
これによって、「早寝早起き朝ご飯」といった基本的生活習慣を我が子に修得させることは、親のつとめとなりました。国や地方自治体は、しっかりした家庭教育が行われるよう、若い親たちを支援する仕組みを整えなければなりません。
心豊かな国民の育成を
子供の心を健やかに育み、立派な国民に導くことは、わが国の教育に課せられた大きな課題です。自立心や公共心、規範意識などの道徳心を養うとともに、美しいものに感動する心や、人間の力を超えたものに対する畏敬の念を培い、心豊かな国民を育成することが、「国づくり」の根本に据えられるべきです。
平成18年の教育基本法改正以来、劇的に変わっている教育政策ですが、それが実現されていくためには、地方自治体、教育委員会、現場の先生方、そして父兄の皆さんの理解と努力にかかっています。
そのためにまず何よりも、教育基本法改正に始まる教育改革の現状を正しく理解し、知らせていく国民運動が必要となってきます。日本文明に基づく社会人教育を進められている皆様に、大いに期待したいと思います。